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  1. 暖房パネルで足元ぽかぽか!『暖カウンター』
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京都の匠 長谷川渉先生インタビュー

京都の匠 長谷川渉先生インタビュー

■ 長谷川 渉氏プロフィール

WHATS 長谷川ワタル建築研究所 代表 一級建築士
〜 雅空間の若き志士 〜 として、過去数回の「大改造!!劇的ビフォーアフター」に匠として出演。 機能性と和の風情を絶妙なバランスで配し、心和む 空間に仕上げる。
研ぎ澄まされた現代的な感性で、古き良き日本建築の格式に、新たな風を吹き込む。
1968年9月 京都生まれ。 1991年3月 関西大学工学部建築学科 卒業。
2000年 長谷川ワタル建築事務所(WHATS)設立

建築設計の中での空調設備として大事にしていることは何ですか?

まず一番には快適さ。 あと、機械が動いているということを受益者に感じさせないことを、見た目も含めて大切にしている。
「そこに機械がある事を感じさせない」
例えばエアコンなどもできるだけ目立たないように工夫する。そこに機械があることを感じさせず、風や熱がどこからきているのか分からないくらい自然なスタイルがいい。

効率のよい暖房について、どのように考えられますか?

コストは別として輻射熱が一番よいと思う。
風があたらないから直射日光や日差しが気持ち良いのと似ている。何よりも空間の温度斑も少ないため、人の体感する暖まり方も均等でエネルギーのロスが少ないように思う。
「輻射熱の効率」
ランニングコストも少なくて輻射熱を利用する暖房機器があれば消費エネルギーも含めて効率がいいと考える。
あと、個人的には火が見えるものも好き。体感に加えて視覚効果もあるので、暖炉などが置いてあるのはいいと思う。
効率のことは別にして(笑)

ご自身の作品の中で「暖カウンター」をご採用いただいた理由は何ですか?

最初はこちらのレストランバー(サロットかわかみ様)だったので、乾燥も少なく鮮度などの影響が少ないのではと思った。それとカウンター下という、お客様に近接しているところに設置するので輻射熱効果が手軽に得られるのではと思った。今回の物件は改装工事だったので、設備として(負荷など)軽く、扱いやすいのも良かった。
「設備として軽いもの」
例えば床暖房などでは土間を加工してコンクリート打ってフローリングで仕上げたり、エアコン増設でも室外機置いて配管を取り回してなど設備として重くなるところ、既にパネル化しているので取付にしても施工の手間がいらず、回り(他の作業や段取り)に与える影響も少なかった。
どちらにしても床暖房は土足だったので使えなかったのですが…。
ランニングコストなどの低負荷も魅力だったが、設備として軽いというのが一番の理由だった。

ビフォーアフターで手掛けられた陶芸教室。ご採用の経緯を教えてください。

ビフォーアフターで手掛けられた陶芸教室。ご採用の経緯を教えてください。

一番には教室内の乾燥を避けられるということ。
陶芸の世界では常識と思われるが、エアコンでの暖房は土の乾燥を招いて相応しくなかった。
これまでも土間の寒い中、苦労されてきた経験を元に、壁などに設置して暖房を活かせる製品が望ましかったので。
施主様にご紹介した際も、そんな製品があるならぜひと喜んでいただけたことも採用の理由かな。

サロットかわかみ様でのご採用の中でのポイントを教えてください。

サロットかわかみ様でのご採用の中でのポイントを教えてください。

経緯は先ほどお話したとおりだが、意匠的なところでも結構こだわった。
店内のレイアウトにあわせて「暖カウンター」自体の設置方法や見栄えにも工夫した。
上下のカバーを隠してカウンター腰板と一体感を持たせられたことがポイント。
逆に言えば、そうしたオリジナルでの加工や対応が簡単にできることも採用の大きな理由。
オーナーさんに初めて紹介した時も自然な輻射熱で風がでないことや乾燥しないことに大変関心を持たれたことと、他店ではない新しい設備の導入というご興味とご期待も大きかったと思う。

ヨガ教室でもご採用いただきましたが、こちらの経緯も教えてください。

ヨガ教室でもご採用頂きましたが、こちらの経緯も教えてください。

こちらは既存ビル内のワン・フロアー改築だったので、窓際が極端に寒いという問題に対するオーダーがあった。
新しいビルではないので窓ガラスも単板だったので結露も心配だった。
広いフロア全体をレッスンで使用するので、人数が入った時の窓際に近い人のことを考えて計画し採用に至った。
設置対象範囲も広く、本体費用がかかることに懸念はあったが、窓際がどうしても寒いこと、結露が最大の心配面であったので何等かの対策が必要だったので問題はなかった。エアコンを増設するにしてもビル上層階に室外機つけて配管をしたりするとなると大変な工事になるところ、小さい電気容量で手軽な工事でも設置できる点は大変魅力だった。

これからの設備機器、また理想的な暖房とはどうあるべきと思われますか?

これからの設備機器、また理想的な暖房とはどうあるべきと思われますか?

もう言い尽くされているけど、省エネルギーにつきると思う。
今さら言うことでもないくらい常識になってきているが、まずは省エネルギー仕様であるべきことが前提。
消費エネルギーの少ない家または住まい方が中心になってきているし、これからもそう。
「消費エネルギーの少ないこと」
暑いや寒いを補ってくれる、文明の力である空調設備もそこに機械があることを感じさせないということが望ましい。
今さら暖房のない生活なんてあり得ない中でも、そのことによって多少不便になっても、我慢のない範囲で、存在や機能を意識させないデザインや工夫を追求したい。建築設計において自然な風の流れや光や熱の受け入れ方は今後も重要なポイントになるが、それだけでは賄えない部分をさりげなく、かつ消費エネルギーも少なくサポートできることがこれからの空調設備や暖房機器に望まれることだと思う。

暖カウンターへの今後のアドバイスをいただけますか。

建築計画の中に設備として含むとすると、省エネであること、負担が軽いということ、存在を感じさせないということが大事とお話した。
そういう意味でも「暖カウンター」は空間を温めるという目的で、まさにその項目を満たしていると思う。
そのことをいかにPRできるかということ、そして存在を感じさせないというポイントがうまく機能して建築デザインの中に溶け込ますことができたり、逆に見られてもおかしくないのでお店のアクセントとして強調させることもできるなど、その特徴や利便性が話題として広まることが今後の普及にはかかせないと思う。
今後自分が手掛ける建築においても、機会のたびに施主さんに提案しながら積極的に取り入れていきたいと思うし、暖房設備の中で確固たる位置付けとなるべく応援をしていきたいと思います。

長谷川先生、お忙しい中、長時間ありがとうございました。    (終わり)

サロットかわかみ

■ サロットかわかみ お店紹介